(34)誰をかも 知る人にせむ 高砂の

百人一首34番歌

誰をかも
知る人にせむ
高砂(たかさご)の
松も昔の
友ならなくに

古今集・巻17・雑上909

by 藤原興風(おきかぜ)
生没年不詳
36歌仙の一人

 

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いったい誰を親しい友としたらよいのだろうか。高砂の松でさえ、昔からの友ではないのに。

 

(年老いてきて、昔からの友は世を去ってしまった。高砂の松は長寿だけれど、そこに私の友はいない。)

老いて、心を許して話せる友がいなくなり、同じように老いた松に話しかけても返事は来ない、孤独を詠んだ歌。

 

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藤原興風
日本最古の歌論集「歌経標式(かきょうひょうしき」の著者・藤原浜成(はまなり)の曾孫
古今集目録」によると、管弦の名手だったそうです。
歌集「興風集」があります。

 

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松は長寿の象徴。

高砂の=
「まつ」や「尾上(おのうえ=山頂)」の枕詞

高砂の松」=
現在の兵庫県高砂市高砂神社の相生(あいおい)の松とする説、
山一般の松を指すとする説、などがあります。

 

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高砂」は、
後の室町時代
世阿弥の能「高砂や~・・」が有名です。
番外メモに書こうと思います。

 

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