百人一首87番歌
むらさめの
露もまだ干(ひ)ぬ
真木(まき)の葉に
霧立ちのぼる
秋の夕暮れ
「新古今集」秋下491
「50首歌たてまつりし時」
by 寂蓮
1139~1202
俗名藤原定長
藤原俊成の甥(兄の子)
俊成の養子(後継者)となるが、定家が誕生した後、出家。
村雨(にわか雨)のしずくもまだ乾かない槙の葉に、霧が白く立ちこめていく秋の夕暮れ。
寂蓮は、30歳代で出家し歌道に精進し、御子左家の中心歌人として活躍しました。
87番歌は、1201年、後鳥羽院をはじめとする10人の和歌を合わせて行われた「老若50首歌合」での作。
越前という女性の
「いづくにも さこそは月を 眺むとも いとかく人の 袖はしほれじ」と合わされ、寂連が勝ちました。
「新古今集」の撰者の一人に任命されましたが、完成を待たずに翌年64歳で没しました。
「新古今集」の中の『三夕の歌』のひとつは寂連の歌です。
さびしさは
その色としも
なかりけり
まき立つ山の
秋の夕暮れ