(81)ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば

百人一首81番歌

ほととぎす
鳴きつる方を
眺むれば
ただ有明
月ぞ残れる


「千載集」夏161
「暁に時鳥を聞くといへる心を詠み侍りける 右大臣」


by 後徳大寺左大臣
藤原実定(さねさだ)
1139~1191
藤原公能(きんよし)の嫡男。
俊成の甥
定家の従兄弟

実定の姉は
藤原忻子=後白河帝中宮
藤原多子=近衛帝后、二条帝后


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ほととぎすが鳴いた方を見ると、そこにほととぎすの姿はなく、ただ有明の月だけが空に残っていました。


実定が右大臣の頃、48歳頃、平家が壇ノ浦に滅んだ頃に詠んだ歌。

時鳥(ほととぎす)=夏の訪れを知らせる鳥

朝1番に鳴くといわれる時鳥の声を聴くために夜を明かして待つ平安貴族の優美な情景を詠んだ歌


番外メモに続く

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