百人一首13番歌
筑波嶺の(つくばねの)
峰より落つる
みなの川
恋ぞつもりて
淵となりぬる
by 陽成院
第57代天皇(在位876~884)
868~949
峰=山頂
淵=水がよどんで深い所
筑波山の山頂から流れ始める みなの川が、
最初は細い流れからやがて深い淵になるように、
私の恋心もだんだんつのって淵のように深くなりました。
9歳で第57代天皇に即位しましたが(色々な事情で)17歳で退位することになり、大叔父の光孝天皇(55歳)に皇位を譲り、上皇・陽成院となりました。
若い上皇ですね。
この歌は、上皇となって10年位経った頃、後に妃の一人となる釣殿の皇女に宛てたラブレターだそうです。
(釣殿の皇女は、光孝天皇の皇女で宇多天皇の妹でもあります。)
20代後半位でしょうか、とてもストレートに気持ちが伝わってくる歌ですね。
最初は浅かったのに、だんだん積もって深くなったんですねぇ
上皇となってから65年間、光孝天皇、宇多天皇、醍醐天皇、朱雀天皇、村上天皇の時代まで長生きしました。
清和天皇(陽成天皇の父)の系統は清和源氏(武家の棟梁、後に鎌倉幕府を開く)に繋がっていきました。
「麒麟がくる」に登場した土岐氏も、清和源氏から枝分かれした家系です。
先日の「麒麟がくる」では、斎藤道三の息子の高政が「俺は土岐氏の息子だ!高貴な血筋だ!」というような事を叫んでました(^.^)
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百人一首は、藤原氏に名字を与えた飛鳥時代の天皇から始まり、
武家として源氏、平家が台頭し、
そして、鎌倉時代が開かれた時の二人の天皇の歌、100首目で終わります。
藤原氏の活躍した貴族社会は終焉をむかえます。
陽成天皇の譲位の時の色々な事情は、藤原基経によって退位に追い込まれたというのが最近の説だそうです。
長い上皇時代、ラブレターを送った妃と、きっと仲良く過ごしたことでしょう。
(妃は925年に先立ってしまいました。)