2020-05-14から1日間の記事一覧

(16)たち別れ いなばの山の峰に生ふる

百人一首16番歌 立ち別れ いなばの山の峰に生(お)ふる まつとし聞かば 今帰り来む by 中納言行平 (在原行平 ありわらのゆきひら) 818~893 平城天皇(へいぜいてんのう)の孫 在原業平の兄 お別れですが、 因幡山の峰に生えている松のように、あなたが私の…

(15)君がため 春の野に出でて 若菜つむ

百人一首15番歌 君がため 春の野に出でて 若菜つむ わが衣手に 雪は降りつつ by 光孝天皇 830~887(在位884~887) 平安前期第58代天皇 仁明天皇の第3皇子 先代は、百人一首13番歌の陽成天皇です。 (13)でも書きましたが、 清和天皇の第1皇子の陽成天皇は…

(14)陸奥の しのぶもぢずり たれゆえに

百人一首14番歌 陸奥の(みちのくの) しのぶもぢずり たれゆえに 乱れそめにし 我ならなくに by 河原左大臣(かわらのさだいじん) 嵯峨天皇の12番目の皇子 源融(みなもとのとおる) 822~895 平安時代初期 源融は、「源氏物語」の主人公「光源氏」のモデルの…

(13)筑波嶺の 峰より落つる みなの川

百人一首13番歌 筑波嶺の(つくばねの) 峰より落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる by 陽成院 第57代天皇(在位876~884) 868~949 峰=山頂 淵=水がよどんで深い所 筑波山の山頂から流れ始める みなの川が、 最初は細い流れからやがて深い淵にな…

(12)天つ風 雲の通い路 吹き閉じよ

百人一首12番歌は、桓武天皇の孫・良岑宗貞(のちの僧正遍昭)が若き官人時代に新嘗祭のときの舞をみて詠んだ歌だそうです。 百人一首12番歌 天つ風 雲の通い路 吹き閉じよ をとめの姿 しばしとどめぬ by 僧正遍昭 そうじょうへんじょう 816~890 桓武天皇の…

(11)わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと

百人一首11番歌 わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣舟 わたのはら やそしまかけて こぎいでぬと ひとにはつげよ あまのつりぶね by 参議 篁 さんぎ たかむら=小野篁 (802~852年) わたの原=広い海 八十島=沢山の島々 海人=漁師…

(10)これやこの 行くも帰るも 別れては

百人一首10番歌 これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関 by 蝉丸(せみまる) 詳細不明 平安時代前期の人 百人一首8~39番=平安時代前期の歌 これがあの、 京から東国へと旅立つ人も それを見送って京へ帰る人も ここで別れ、 知ってる…

(9)花の色は うつりにけりな いたづらに

百人一首九番歌 花の色はうつりにけりな いたづらに わが身 世にふる ながめせしまに 小野小町 生没年不詳(800年代前期~中期) 仁明・文徳(もんとく)朝に活躍したともいわれます。 美人さんを〇〇小町と言ったりしますので、美しい人だったのでしょうね…

(8)わが庵は 都のたつみ しかぞ住む

百人一首8番歌 わが庵は 都のたつみ しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり by 喜撰法師 (生没年不明、平安初期頃) 都の辰巳=宇治 しかぞ=そのように 私の庵は、都の東南にあり、ここでこの様に心安らかに暮らしています。 世間の人々は、この世を憂いて…

(7)天の原 ふりさけ見れば 春日なる

百人一首7番歌 天の原(あまのはら) ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に 出でし(いでし) 月かも by 阿部仲麻呂(仲麿) あべのなかまろ (698~770) 奈良時代の貴族。 717年に留学生として遣唐使に同行して唐に渡りました。 唐の皇帝・玄宗に仕え、李白や…

番外メモ 聖武天皇の時代

番外メモ 聖武天皇の時代 聖武天皇=第45代天皇 701~756年 在位724~749年 父は文武天皇 母は宮子(藤原不比等の娘、または養女) 724年(24歳)首(おびと)王子が即位し、聖武天皇となりました。 729年に起きた「長屋王の変」により長屋王が自害すると、藤…

(6)かささぎの 渡せる橋に置く霜の

百人一首6番歌 かささぎの 渡せる橋に 置く霜の 白きを見れば 夜ぞふけにける by 大伴家持 718?~785 おおとものやかもち、中納言やかもち 家持(やかもち)は、大伴旅人(たびと)の息子。 旅人の妻亡き後、異母妹の坂上郎女(さかのうえのいらつめ)が家持の養…

(5)奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の

百人一首5番歌 奥山に 紅葉踏み分け 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋は悲しき by 猿丸大夫 さるまるのたいふ、さるまるだゆう 生没年不明、実体不明 奥山に、敷きつめられたもみじ、愛する者を思って鳴く鹿、とても淋しい情景が浮かんで悲しくなります。 この歌は…

(4)田子の浦に うちい出て見れば 白妙の

百人一首四番歌 田子の浦に うちい出て見れば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ by 山部赤人(山辺、やまべのあかひと) 生没年不詳 奈良時代の歌人 万葉集に、聖武天皇の行幸に随行した際の長歌が多く収められているそうです。 後の平安時代に藤原公任の「…

(3)あしびきの 山鳥の尾のしだり尾の

百人一首三番歌 あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜(よ)をひとりかも寝む by 柿本人麻呂 この歌は柿本人麻呂の作ではないといわれますが、百人一首では人麻呂(人丸、人麿、どれも同じ人)作となってます。 「あしびきの」は、山にかかる枕詞で…

天の香具山

「天の香具山」 万葉集には、沢山、天の香具山がでてくるそうです。 その中のいくつかですφ(._.)メモメモ 舒明(じょめい)天皇 (天智天皇や天武天皇の父) の、長歌 大和には 群山(むらやま)あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は 煙立…

(2)春過ぎて 夏来にけらし白妙の

百人一首二番歌 春過ぎて 夏来にけらし 白妙の(しろたえの) 衣ほすてふ 天の香具山(あまのかぐやま) by 持統天皇 持統天皇は、百人一首1番歌の作者天智天皇の第二皇女です。 645年生まれ 702年没 在位は 690~697年 夫は 天武天皇。 天武天皇は 伊勢神…

(1)秋の田の刈り穂の庵の苫をあらみ

『百人一首一番歌』 秋の田の 仮庵(かりほ)の庵の苫(とま)をあらみ わが衣手(ころもで)は露にぬれつつ 天智天皇(てんぢてんのう)作 (作者は天智天皇ではないとも言われます。) 秋の田に、急ごしらえで作った小屋は、苫(とま=草を編んだもの)の…